提案された意見書・決議案
2005年12月16日     

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市会議第29号
   平成17年12月16日提出   (全会一致で可決)

耐震強度偽造問題に対する意見書
 マンション等の建築過程で構造設計者が,構造計算書を偽造するという事件が発覚した。今回の事件の原因として,当事者の倫理観の欠如に加え,設計会社,建築会社,経営コンサルタントなどの関与が取りざたされるなど,検査制度の構造的な問題も指摘されている。
 今回の耐震強度偽造事件は,想像を絶するものであり,国民の信頼を大きく損なうものとなった。国は,偽造が判明した物件に対しては,被害を受けた居住者の安全を最優先とし,居住の安定確保を行い,また建築物全般 についての対応としては,建築確認検査制度の総点検の検討を行うなど,再発防止に向けて取り組まれている。
 よって国におかれては,更に国民が安心して暮らせるよう,下記に掲げる事項に付き迅速な対応を講じられたい。
        記
1 事実関係の精査をし,情報については広く開示すること。
2 全国の確認検査機関と連携のうえ,徹底的に原因を究明すること。
3 偽造再発防止のため,審査の在り方,中間検査の在り方を見直すなど,建築確認制度を抜
 本的に改善すること。
4 被害者救済のための支援制度を創設すること。
5 耐震診断への補助制度を創設すること。
6 悪質かつ多大な影響を与える違法物件に係る罰則制度の強化を検討すること。
 
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
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市会議第30号
   平成17年12月16日提出     (全会一致で可決)

子どもたちの安心・安全対策の強化を求める意見書
 広島県,栃木県の下校途中の小学1年生の女児が殺害され,また京都府宇治市の塾において小学6年生の女児が殺害されるという痛ましい事件が続発している。
 こうした事態は「いつ起きても不思議ではない」との危機意識を高め,深刻に受け止めなければならない。現在各地域においても,子どもの安全確保に向け,保護者・地域を中心に市民ぐるみで緊急安全会議の実施,防犯マップや通 学路の総点検の実施をはじめ,学校園への不審者侵入対策に取り組まれているが,今後より一層の安全対策が求められている。
 よって国におかれては,子どもたちの安全確保に関し,下記の事項を実施するよう強く要望する。
                  記
1 欧米の先進事例などを参考に,有効な改善方策を研究し,具体化すること。
2 監視カメラやカメラ付きインターホン・オートロックといった学校園の安全管理のための
 設備整備などの費用負担について,財政措置を講じること。
3 校内及び地域の巡回や保護者・地域ボランティアへの指導に大きな力となっている国の委 
 嘱事業「スクールガードリーダー制度」については,1校当たり1年に限らず今後とも継続・ 
 拡充をすること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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市会議第31号
平成17年12月16日提出   (日本共産党は反対したが、賛成多数で可決)

「事業仕分け」による行財政の効率化を求める意見書

 
国債残高は今年度末,約538兆円に達する見込みであり,国民1人当たり約500万円もの債務を負う計算になる。将来の世代に負担を先送りすることは許されず,財政を健全化させることは喫緊の課題であることは論をまたない。
しかし,その解決策として安易に増税論議を先行させるのは早計であり,まずは徹底した歳出見直し,削減が先決である。この際,徹底的に行政の無駄 を省くために,国の全事業を洗い直す「事業仕分け」を実施すべきである。
この「事業仕分け」は,民間の専門家による視点を導入して徹底して論議を行い,「不要」「民間委託」「他の行政機関の事業」「引き続きやるべき事業」に仕分けをするため,行政担当者の意識改革にもつながり,関係者の納得のうえで歳出削減を実現しようとする点でも評価されている。
既に一部の自治体では実施されており,予算の約1割に相当する大幅な削減が見込まれている。
「事業仕分け」の手法による大胆な歳出削減を行い,そこからねん出された財源を財政再建に振り向けるだけでなく,その一定部分は国民ニーズに応じて必要な新規事業などに活用するなど,行財政の効率化を図ることが望まれる。
 よって国におかれては,「小さくて効率的な政府」を目指し,「事業仕分け」の断行を実施することを強く求めるものである。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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市会議第32号
平成17年12月16日提出    (日本共産党は反対したが、賛成多数で可決)

人権擁護法の早期制定を求める意見書
 
不当な差別や偏見,虐待等による人権侵害被害者の救済を目的とする人権擁護法の制定については,人権擁護推進審議会の答申を受けて,今日まで国会審議等が幅広く重ねられてきているが,衆議院解散等の事情により,いまだ成立するまでには至っていない。
21世紀は「人権の世紀」と言われながらも,いまだに同和地区住民に対する結婚・就職差別 ,女性,心身に障害のある人々や,在日外国人に対する人権侵害,思想・信条による差別 や偏見等により人権が脅かされている。また,情報化進展により新たな人権侵害も生じてきており,真に独立性,迅速性,専門性を備えた実効ある人権侵害救済制度を早期に確立することは,人権国家を目指す我が国にとって喫緊の課題となっている。更に,憲法で保障された「基本的人権の尊重」を遵守するためにも,1993年の国連総会で日本政府も賛成し採択された「国内機構の地位 に関する原則(パリ原則)」を尊重した対応等,早期に国際的責務を果たすことが求められている。
よって国におかれては,真の人権侵害救済制度の確立のために,「報道の自由」を堅持した実効ある人権擁護法を早期制定されるよう強く要望する。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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市会議第33号
平成17年12月16日提出      (日本共産党は反対したが、賛成多数で可決)

「真の地方分権改革の確実な実現」を求める意見書
 
 「三位一体の改革」は,小泉内閣総理大臣が進める「国から地方へ」の構造改革の最大の柱であり,全国一律・画一的な施策を転換し,地方の自由度を高め,効率的な行財政運営を確立することにある。
 地方六団体は,平成18年度までの第1期改革において,3兆円の税源移譲を確実に実施するため,昨年の3兆2,000億円の国庫補助負担金改革案の提出に続き,政府からの再度の要請により,去る7月20日に残り6,000億円の確実な税源移譲を目指して,「国庫補助負担金等に関する改革案(2)」を取りまとめ,改めて小泉内閣総理大臣に提出したところである。
 政府・与党においては,去る11月30日,「三位一体の改革について」決定され,地方への3兆円の税源移譲,施設整備費国庫補助負担金の一部について税源移譲の対象とされ,また,生活保護費負担金の地方への負担転嫁を行わなかったことは評価するものであるが,「地方の改革案」になかった児童扶養手当や児童手当,義務教育費国庫負担金の負担率の引下げなど,真の地方分権改革の理念に沿わない内容や課題も多く含まれ,今後,「真の地方分権改革の確実な実現」に向け,「地方の改革案」に沿って平成19年度以降も「第2期改革」として,更なる改革を強力に推進する必要がある。
 よって国におかれては,平成18年度の地方税財政対策において,真の地方分権改革を実現するよう,下記事項の実現を強く求める。
                記
1 地方交付税の所要総額の確保
 平成18年度の地方交付税については,「基本方針2005」の閣議決定を踏まえ,地方公共
団体の安定的財政運営に支障を来すことのないよう,地方交付税の所要総額を確保すること。
 また,税源移譲が行われても,税源移譲額が国庫補助負担金廃止に伴い財源措置すべき額に 
満たない地方公共団体については,地方交付税の算定等を通じて確実に財源措置を行うこと。
2 3兆円規模の確実な税源移譲
 3兆円規模の税源移譲に当たっては,所得税から個人住民税への10パーセント比例税率化
により実現すること。
  また,個人所得課税全体で実質的な増税とならないよう適切な負担調整措置を講じること。
3 都市税源の充実確保
 個人住民税は,負担分任の性格を有するとともに,福祉等の対人サービスを安定的に支えて
いくうえで極めて重要な税であり,市町村への配分割合を高めること。
4 真の地方分権改革のための「第2期改革」の実施
 政府においては,「三位一体の改革」を平成18年度までの第1期改革にとどめることなく,
「真の地方分権改革の確実な実現」に向け,平成19年度以降も「第2期改革」として「地方
の改革案」に沿った更なる改革を引き続き強力に推進すること。
5 義務教育費国庫補助負担金について
 地方が創意と工夫に満ちた教育行政を展開するため,「地方の改革案」に沿った税源移譲を実
現すること。
6 施設整備費国庫補助負担金について
 施設整備費国庫補助負担金の一部について税源移譲割合が50パーセントとされ,税源移譲
の対象とされたところではあるが,地方の裁量を高めるため,「第2期改革」において,「地方
の改革案」に沿った施設整備費国庫補助負担金の税源移譲を実現すること。
7 法定率分の引上げ等の確実な財源措置
 税源移譲に伴う地方財源不足に対する補てんについては,地方交付税法の原則に従い,法定
率分の引上げで対応すること。
8 地方財政計画における決算かい離の同時一体的な是正
 地方財政計画と決算とのかい離については,平成18年度以降についても,引き続き,同時
一体的に規模是正を行うこと。
9 「国と地方の協議の場」の制度化
 「真の地方分権改革の確実な実現」を推進するため,「国と地方の協議の場」を定期的に開催
し,これを制度化すること。
 
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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市会議第34号
   平成17年12月16日提出   (日本共産党が提案、賛成少数で否決)

地方交付税に関する意見書

 政府・与党は「三位一体改革」について,国庫補助負担金を6,540億円削減することに正式合意した。生活保護の国庫負担の引下げは地方の反対によって見送られたが,児童扶養手当・児童手当の国負担率を引き下げ,介護施設整備費補助金,介護給付費補助金を削減するとしている。また,義務教育費国庫負担金の割合を2分の1から3分の1に引き下げることも盛り込まれた。国庫補助負担金は,本来,国が財政的に責任を持つべきものであり,その削減は地方自治体に負担を転嫁するものである。
 更に,政府は2007年度以降を「第2期改革」として,地方交付税の財政保障機能を見直して,2006年度は4兆3,000億円の削減を進めようとしている。地方財政を一層困難にするものであり,自治体に対しては地方交付税を通 じて確実に財源措置を行うことが必要である。
 よって国におかれては,地方公共団体の安定的財政運営に支障を来すことのないよう,地方交付税の所要総額を確保するよう求めるものである。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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市会議第35号
   平成17年12月16日提出       (全会一致で可決)

同和行政の完全終結を求める決議
京都市会は,これまでも再三再四にわたって,同和行政の完全終結に向けて,抜本的な改革に取り組むことを強く求めてきたところである。この間も議会の強い意志によって,同和問題は多くの面 で改革前進が見られたものの,現在でも,なお優遇措置・特別施策が継続しており,終結に至っていない。
特に前回,平成14年12月17日の決議が全会派一致で採択されて以降も,一部ではあるが「人権研修」への公費による派遣,市立浴場における多大な運営費・格安な入浴料金・無料入浴券の配布,改良住宅における高齢者等対応住宅改善,保健所分室の継続など,これら事業が行われている。
このように実質的な同和事業が継続されていることは重大であり,市会決議の軽視と言わざるを得ない。
よって,完全終結に向け,これらの事業の廃止又は見直しを早急に行うよう,最大限の努力を払うべきである。再度強く求めるものである。
以上,決議する。

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市会議第36号
   平成17年12月16日提出        (全会一致で可決)

子どもの安全確保を求める決議
本年11月から12月にかけて,広島県と栃木県において,小学1年生の女子児童が殺害される事件が連続して発生した。これらの事件に対し,日本中が大きな悲しみと怒りにあふれている。
近年,大阪教育大学附属池田小学校における事件をはじめ,子どもをねらった傷害事件が後を絶たず,子どもを取り巻く生活環境における安全確保が求められている。学校内外で起こり得る事件を想定し,これまで,学校はもとより,家庭,地域,行政,警察が一丸となって安全確保に取り組まれてきたところであるが,先日には,本市に隣接する宇治市において,小学6年生の女子児童が殺害される事件が起こったことで,今,幼い子どもを抱える家庭の不安は計り知れないものとなってきている。
子どもが夢をはぐくみ,未来に向かって成長することが,非道な行為によって妨げられるような社会を,決して継続させてはならない。
よって本市においては,子どもの安全対策を再度検証し,万全の対策を講じるべきである。
以上,決議する。

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市会議第37号
   平成17年12月16日提出    (自民公明が共同提案、民主が賛成。可決)

障害児者に対する福祉施策に関する決議
本年10月末に成立した障害者自立支援法については,身体・知的・精神の3障害共通 の枠組みとして福祉サービス等を提供していこうとすることや,就労への取組を進めること等,障害児者の地域生活での,あるいは地域生活へ向けた支援を充実させていくものであり,制度を安定させ持続可能とするため,大きな意味を持つものである。
この中で,利用者負担については定率負担とされ,これまでの応能負担であった措置費制度や支援費制度から大きな転換がなされるが,低所得者に対しての具体的な配慮が講じられることは,障害児者の実態を理解したものであると考える。
しかしながら,余りにも急激な変化であり,これまで負担のなかった方々の多くが相当の負担を要することとなる。また,障害児者が生きていくための,あるいは,その障害を軽減し,重度化を予防するための医療については,一定の負担はやむを得ないとしても,そのことが受診の差控えになってはならないと考える。
よって,今後の障害児者に対する福祉施策の推進においては,下記の点に特に配慮していくべきである。


1 障害に直接かかわる医療については,障害福祉サービスに先行するものとして,重度かつ 
 継続した医療を必要とする方等の受診の差控えにならないように支援すべきであること。
2 重度・重複障害のある方に対して,過重な利用負担が生じないように支援すべきであるこ
 と。
3 障害者の自立に向けて,共同作業所への支援,授産施設・グループホーム等の更なる整備,
 充実を図ること。
以上,決議する。

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市会議第38号
   平成17年12月16日提出        (日本共産党が提案、賛成少数で否決)

障害者自立支援法施行に伴う利用者負担に関する決議
 障害者自立支援法は,利用者から原則1割の負担を求める内容となっており,当事者や家族からも,「利用料が払えないので施設をやめなくてはならない。」,「医療費が払えなくて精神科に通 院できない。」,などの不安の声が大きく出されている。所得による利用料の上限額設定や一定の減額措置が採られるとされているが,利用者負担に影響が生じる本市の利用者数は月々延べ約2万5,000人にも及び,その影響は甚大である。とりわけ,障害基礎年金とわずかな収入で生活している人たちにも,今以上の負担を求めることは決して認めることはできない。
 ついては,来年度における障害者自立支援法の施行に際しては,事業やサービスの利用に伴う利用者負担や,自立支援医療における医療費負担が発生したときには,負担を軽減するための本市独自の施策を講じるべきである。
 
 以上,決議する。

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