2004年一般 会計決算等についての討論  くらた共子議員
               2005年12月16日 


 日本共産党議員団は、2004年度の決算のうち、報第18号の一般会計、報第20号国民健康保険事業特別 会計決算、報第27号駐車場事業特別会計および、報第32号京北町一般会計決算については認定せず、その他の議案については認定するとの態度を表明しております。
私は、日本共産党市会議員団を代表してその理由を述べ、討論を行います。

公約違反、市民サービス切り捨ての決算

 報第18号の一般会計決算を認定しない理由の第一は、提案された決算が、「福祉と教育は後退させない」と公約した市長が、市長再選直後の予算でありながら、京都市の事務事業44の休廃止を含む430事業の見直しで、100億円の事業費削減を強行し、市民サービスを切捨てた公約違反の決算だからです。主なものだけでも福祉では、民間保育園の給食費や暖房費のカット・保育バス、チビッコプールの廃止・生活保護世帯への夏季歳末見舞金の廃止・体育振興会、老人クラブなど各種団体の補助金カットなどです。

 つぎに教育では、学校運営費・管理費等の見直しで教育予算の削減が行われました。市長総括の場でも、小中学校の実習教材予算が約半分と大幅に縮減され、そのことが保護者への新たな負担増や、現場教師の個人負担となっている実態を示し改善を求めましたが、副市長は「予算削減の影響はない」と拒否されました。

中小企業・伝統産業対策が不十分

 第二の理由は、京都経済の中心である中小企業・伝統産業対策が不充分であるからです。国の中小企業対策予算が四年連続して減少しているなかで、思い切った対策が求められてきたのに、京都市は、中小企業支援センターの融資業務をなくし職員も削減しました。さらに「行政区別 地域経済活性化等支援事業」「商店街支援事業」及び「販路開拓・産地商品宣伝」など伝統産業関係も軒並み予算を減らしてきました。2000年大店法が廃止、大店立地法等まちづくり3法が施行され、市内への大型店出店の規制緩和がすすんだことで、市内500㎡以上の大型店舗は10年前の145店から278店に倍加、逆に小売店舗数は3000軒も減少し、商店街の衰退は危機的な状況となっています。これに対し適正な商業配置がすすんでいるといった京都市の認識に、地域コミュニティの崩壊を危惧する市民の心配は拡大するばかりです。

不要不急の大型公共事業につぎこむ

 第三の理由は、京都市がムダで不要な市内高速道路建設にいまもなお固執しているからです。一方で市民生活に最も密接な道路補修費は6割台に、歩道補修費は6分の1にまで予算が下げられ、その結果 、事故による道路管理瑕疵関連の損害賠償件数は2~3倍に増える実態となっています。高速道路建設は、京都市が負うこととなった新たな負担も含め、事業中の2路線の工事だけでも総額500億円。残る3路線は、着手すべきではありません。市長は、財政を破綻に追い込む高速道路建設の中止を決断すべきです。合わせて、総事業費230億円、年間維持費18億円もかかる焼却灰溶融炉など凍結していた大型公共事業を復活させた京都市の責任は重大であることを指摘します。

同和特別扱いを継続


 第四の理由は、同和特別扱いを継続しているからです。市長はこれまでに、何度も特別 対策としての「同和行政」は終結したと言ってこられました。総括質疑のなかで市長は、山ノ本共同作業場及び、付属物置に対する不法占有の明渡し請求をすること、損失補てんに必要な措置を講じるようにとの監査委員からの勧告に対し、都市計画局担当者の答弁を受けて「遅きに失した」と発言されました。共産党議員団が、これまでに何度も求めてきたのに、少なくとも17年間もの不法な使用を許し、02年のわが党の指摘以降3年間も放置してきたことは市長、あなたの責任ではありませんか。進路支援事業は2004年決算だけでも、同和就学奨励金が2億円、返還免除の自立促進援助金が2億3700万円、国庫返還金が5000万円となっています。しかも今後24年間継続され48億5千万円もの支出がされるというのですから直ちに事業を廃止することが求められます。さらに、平成12年には京都市改良住宅に住む65歳以上の高齢者・身体障害者に対する「無料の住宅改修制度」が新設され、現在も続いていることが判明しました。いったいいつになれば、同和特別 扱いを止めることができるのですか、すぐにでも、特別扱いを改めるべきです。

国民健康保険、払える保険料に

 つづいて、報第20号国民健康保険事業特別会計決算を認定しない理由を述べます。国保証のとりあげは市民のいのちまでをも脅かしかねない問題です。慢性疾患で長期療養を必要とする方が、「保険料が払えないのに、短期証や資格証明書が発行されても、病院窓口の支払い負担に耐えられない。」と治療を中断する実態が生まれることは重大です。市民の医療を受ける権利を守れとの切実な声を無視する姿勢は、住民福祉の向上を図るべき自治体の使命を投げ捨てる行為であり、とうてい認められるものではありません。

 値上げの実態は、所得割で前年の100分の596から100分の669となり払えない方が増え、滞納額は2004年決算で74億3千万円、世帯数は5万世帯。徴収率は前年度比91.2%から90.6%に低下しています。財政面 でも、15年度に交付されるべき5億円が収入されたことで単年度1億2302万円の黒字となったものの、実質は4億円の赤字で財政収支の悪化状況は変わらない結果 となっています。京都市は、一般会計から過去最高の繰り入れをおこなっているとしていますが、市独自の努力が現れる「任意の保険給付費等の額」では、ひとりあたりの額が、全国で仙台に告ぐワースト2であり、繰り入れ総額に対する割合では45.8%と最低です。京都市は国保財政の厳しさを言いながら任意の繰り入れを減らしてきました。これでどうして努力していると言えるのですか。
制度運用上、国保財政が赤字となる仕組みとなっていることは国の責任です。しかしだからこそ、その防波堤としての自治体の努力が必要なのです。京都市は府との連携を強調しますが、9億円の申請に対し、わずか1億円余りの補助金に甘んじている実態からも市民の命に責任がもてているとは言えません。
 「払える保険料にして欲しい」という市民の声に応える努力をあらためて求めるものです。

 最後に報第32号京北町一般会計決算を認定しない理由を述べます。2004年度は、京都市との合併を直前に前京北町長が健康診断事業と、町立小学校の給食棟建築工事を巡る汚職事件で二度逮捕されるという不祥事が発覚した年度であります。自治体の責務が厳しく問われることは言うまでもありません。

 以上、2004年度決算は、国が三位一体の改革により交付税等125億円もの削減を行ったことが、京都市財政を圧迫していることは明らかです。そのうえに、そのしわ寄せを市民に転嫁してきたところに、今の京都市政の責任問題があることを指摘し、討論とします。

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